「生活保護法改悪」の廃案を求める日本弁護士会緊急会長声明
2013年05月18日
生活保護の利用を妨げる「生活保護法の一部を改正する法律案」の廃案を求める緊急会長声明
政府は、本年5月17日、生活保護法の一部を改正する法律案(以下「改正案」という。)を閣議決定した。
改正案には、①違法な「水際作戦」を合法化する、②保護申請に対する一層の萎縮的効果を及ぼす、との二点において、看過しがたい重大な問題がある。
まず、改正案24条1項は、保護の開始の申請は、「要保護者の資産及び収入の状況」その他「厚生労働省令で定める事項」を記載した申請書を提出しなければならないとし、同条2項は、申請書には保護の要否判定に必要な「厚生労働省令で定める書類を添付しなければならない」としている。しかし、現行生活保護法24条1項が、保護の申請を書面による要式行為とせず、かつ、保護の要否判定に必要な書類の添付を申請の要件としていないことと比べて、また、口頭による保護申請も認められるとする確立した裁判例(平成13年10月19日大阪高裁判決、平成25年2月20日さいたま地裁判決など)に照らして、保護申請権の行使に制限を加えるものであることは明らかである。
また、実務の運用においても、厚生労働省は、保護を利用したいという意思の確認ができれば申請があったものとして取り扱い、実施機関の責任において必要な調査を行い、保護の要否の決定をなすべきものとしている。これに反して、保護の要否判定に必要な書類を添付しない場合には「申請不受理」とする取扱いは、「水際作戦」と呼ばれる違法な申請権侵害である。
この点、厚生労働大臣は、5月14日の閣議後記者会見において、「今までも運用でやっていたこと」「を法律に書くというだけの話なので、それほど運用面では変わらないと思います」と述べているが、当該発言は、はしなくも、改正案の目的が、全国の生活保護の窓口においてまん延している、申請権を侵害する違法な「水際作戦」を追認し、合法化することにあることを示すものである。
なお、現行の生活保護法施行規則には、保護申請は書面を提出して行わなければならない旨の規定(2条)があるが、法律による個別の委任に基づかない規定であり、これによって国民の権利を制限し義務を課すことはできないと解されている。
次に、改正案24条8項は、保護の実施機関に対し、保護開始の決定をしようとするときは、あらかじめ、扶養義務者に対して、厚生労働省令で定める事項を通知することを義務付けている。
しかし、現行法下においても、保護開始申請を行おうとする要保護者が、扶養義務者への通知により生じる親族間のあつれきやスティグマ(恥の烙印)を恐れて申請を断念する場合は少なくない。このように扶養義務者への通知には保護申請に対する萎縮的効果があり、これもあって、生活保護の捕捉率(制度の利用資格のある者のうち現に利用できている者が占める割合)が2割程度に抑えられているところ、改正案によって一層の萎縮的効果を及ぼすことが明らかであり、容認できない。
当連合会は、2006年以来、繰り返し生活保護に関する全国一斉電話相談を実施し、「親や兄弟に面倒を見てもらいなさい」「書類が揃わないと申請を受理できない」などの口実で申請を受け付けない、違法な「水際作戦」の被害の個別救済に全力を挙げるとともに、2008年には生活保護法改正要綱案を提言するなどして、その根絶を求めてきた。今般の改正案は、「水際作戦」を合法化するものであり、一層の萎縮的効果を及ぼすことにより、客観的には生活保護の利用要件を満たしているにもかかわらず、これを利用することのできない要保護者が続出し、多数の自殺・餓死・孤立死等の悲劇を招くおそれがある。これは我が国における生存権保障(憲法25条)を空文化させるものであって到底容認できない。よって、当連合会は、改正案の廃案を強く求める。
2013年(平成25年)5月17日
日本弁護士連合会
会長 山岸 憲司
政府は、本年5月17日、生活保護法の一部を改正する法律案(以下「改正案」という。)を閣議決定した。
改正案には、①違法な「水際作戦」を合法化する、②保護申請に対する一層の萎縮的効果を及ぼす、との二点において、看過しがたい重大な問題がある。
まず、改正案24条1項は、保護の開始の申請は、「要保護者の資産及び収入の状況」その他「厚生労働省令で定める事項」を記載した申請書を提出しなければならないとし、同条2項は、申請書には保護の要否判定に必要な「厚生労働省令で定める書類を添付しなければならない」としている。しかし、現行生活保護法24条1項が、保護の申請を書面による要式行為とせず、かつ、保護の要否判定に必要な書類の添付を申請の要件としていないことと比べて、また、口頭による保護申請も認められるとする確立した裁判例(平成13年10月19日大阪高裁判決、平成25年2月20日さいたま地裁判決など)に照らして、保護申請権の行使に制限を加えるものであることは明らかである。
また、実務の運用においても、厚生労働省は、保護を利用したいという意思の確認ができれば申請があったものとして取り扱い、実施機関の責任において必要な調査を行い、保護の要否の決定をなすべきものとしている。これに反して、保護の要否判定に必要な書類を添付しない場合には「申請不受理」とする取扱いは、「水際作戦」と呼ばれる違法な申請権侵害である。
この点、厚生労働大臣は、5月14日の閣議後記者会見において、「今までも運用でやっていたこと」「を法律に書くというだけの話なので、それほど運用面では変わらないと思います」と述べているが、当該発言は、はしなくも、改正案の目的が、全国の生活保護の窓口においてまん延している、申請権を侵害する違法な「水際作戦」を追認し、合法化することにあることを示すものである。
なお、現行の生活保護法施行規則には、保護申請は書面を提出して行わなければならない旨の規定(2条)があるが、法律による個別の委任に基づかない規定であり、これによって国民の権利を制限し義務を課すことはできないと解されている。
次に、改正案24条8項は、保護の実施機関に対し、保護開始の決定をしようとするときは、あらかじめ、扶養義務者に対して、厚生労働省令で定める事項を通知することを義務付けている。
しかし、現行法下においても、保護開始申請を行おうとする要保護者が、扶養義務者への通知により生じる親族間のあつれきやスティグマ(恥の烙印)を恐れて申請を断念する場合は少なくない。このように扶養義務者への通知には保護申請に対する萎縮的効果があり、これもあって、生活保護の捕捉率(制度の利用資格のある者のうち現に利用できている者が占める割合)が2割程度に抑えられているところ、改正案によって一層の萎縮的効果を及ぼすことが明らかであり、容認できない。
当連合会は、2006年以来、繰り返し生活保護に関する全国一斉電話相談を実施し、「親や兄弟に面倒を見てもらいなさい」「書類が揃わないと申請を受理できない」などの口実で申請を受け付けない、違法な「水際作戦」の被害の個別救済に全力を挙げるとともに、2008年には生活保護法改正要綱案を提言するなどして、その根絶を求めてきた。今般の改正案は、「水際作戦」を合法化するものであり、一層の萎縮的効果を及ぼすことにより、客観的には生活保護の利用要件を満たしているにもかかわらず、これを利用することのできない要保護者が続出し、多数の自殺・餓死・孤立死等の悲劇を招くおそれがある。これは我が国における生存権保障(憲法25条)を空文化させるものであって到底容認できない。よって、当連合会は、改正案の廃案を強く求める。
2013年(平成25年)5月17日
日本弁護士連合会
会長 山岸 憲司
保護基準改悪>勤労控除廃止についても許せない
2013年01月20日
社会保障審議会第12回生活保護基準部会を踏まえての緊急声明
生活保護問題対策全国会議
6 勤労特別控除について
報告書案(10頁)は,勤労控除,特別控除の見直しについて,「本部会として概ね異論はないとされた」と廃止方向を示唆している。
しかし,前回部会で資料提示された,厚生労働省が全福祉事務所に実施した悉皆アンケート調査の結果によれば,「臨時的就労関連経費を補填する役割を果たしている。」との回答が169福祉事務所(17%),「臨時的就労関連経費の補填というよりも,可処分所得の増加によって就労インセンティブの促進に効果的につながっている。」との回答が497福祉事務所(51%)と,肯定的評価が約7割に達している。特に,稼働可能者に対する就労インセンティブをいかにして高めるかが検討課題とされている中,特別控除が「就労インセンティブの促進に効果的につながっている」との回答が51%もある。にもかかわらず,それを理由として廃止を結論づけようとするのは牽強付会に過ぎる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
生活保護基準の引き下げが大問題なので、各方面から異議が出ていて注目されていますが、『勤労控除』の廃止も重大な問題です。
生活保護基準に満たない仕事しか手に入れられない方が沢山いて、生活保護から抜けられない現状があります。
(企業の「非正規」「短時間」「低賃金」雇用で事業の利益確保は、あくどいが別の問題)
仕事をしても不安定な雇用ですから、安心しては働けません。しかし、仕事をする事が社会とのつながりを持ち生活をする事にとって大切です。その様な仕事ですが、それを継続できるための制度として「勤労控除」があります。仕事に行く事によって必要となる経費の増加を賄うためです。倹約をすれば、控除分がまるまる経費では無く生活費にも回せる事も、仕事の励みになっています。
その打ち切りは、「生活保護費に満たない様な仕事はしなくてよい」という事なのでしょうか。
仕事は収入を得る為だけ絵はありません、毎日の生きがい・励みになるし、社会との関わりを維持して、他者からの評価も得られます。僅かの収入ですが、一生懸命に継続して仕事をされている方がいます。
「仕事をしたら損だ」と云うような制度の改悪には反対です。
生活保護問題対策全国会議
6 勤労特別控除について
報告書案(10頁)は,勤労控除,特別控除の見直しについて,「本部会として概ね異論はないとされた」と廃止方向を示唆している。
しかし,前回部会で資料提示された,厚生労働省が全福祉事務所に実施した悉皆アンケート調査の結果によれば,「臨時的就労関連経費を補填する役割を果たしている。」との回答が169福祉事務所(17%),「臨時的就労関連経費の補填というよりも,可処分所得の増加によって就労インセンティブの促進に効果的につながっている。」との回答が497福祉事務所(51%)と,肯定的評価が約7割に達している。特に,稼働可能者に対する就労インセンティブをいかにして高めるかが検討課題とされている中,特別控除が「就労インセンティブの促進に効果的につながっている」との回答が51%もある。にもかかわらず,それを理由として廃止を結論づけようとするのは牽強付会に過ぎる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
生活保護基準の引き下げが大問題なので、各方面から異議が出ていて注目されていますが、『勤労控除』の廃止も重大な問題です。
生活保護基準に満たない仕事しか手に入れられない方が沢山いて、生活保護から抜けられない現状があります。
(企業の「非正規」「短時間」「低賃金」雇用で事業の利益確保は、あくどいが別の問題)
仕事をしても不安定な雇用ですから、安心しては働けません。しかし、仕事をする事が社会とのつながりを持ち生活をする事にとって大切です。その様な仕事ですが、それを継続できるための制度として「勤労控除」があります。仕事に行く事によって必要となる経費の増加を賄うためです。倹約をすれば、控除分がまるまる経費では無く生活費にも回せる事も、仕事の励みになっています。
その打ち切りは、「生活保護費に満たない様な仕事はしなくてよい」という事なのでしょうか。
仕事は収入を得る為だけ絵はありません、毎日の生きがい・励みになるし、社会との関わりを維持して、他者からの評価も得られます。僅かの収入ですが、一生懸命に継続して仕事をされている方がいます。
「仕事をしたら損だ」と云うような制度の改悪には反対です。
生活保護基準の引き下げに強く反対する会長声明
2013年01月16日
生活保護基準の引き下げに強く反対する会長声明
2013年01月10日
東京弁護士会 会長 斎藤 義房
サイトはこちら
<以下、コピーです>
1.昨年8月10日成立した社会保障制度改革推進法の附則2条では、「水準の適正化」を含む生活保護制度の見直しを行うと定められた。これを踏まえて、同月17日に閣議決定された「平成25年度予算の概算要求組替え基準について」では、「特に財政に大きな負荷となっている社会保障分野についても、これを聖域視することなく、生活保護の見直しをはじめとして、最大限の効率化を図る」こと、「自然増を含め、年金・医療等に係る経費についても、生活保護の見直しをはじめとして合理化・効率化に最大限取り組み、その結果を平成25年度予算に反映させるなど、極力圧縮に努めることとする」との基本方針が示されている。
2013年度予算において、生活保護基準が切り下げられることが強く懸念される。
2.しかし、生活保護基準の切り下げには大きな問題がある。
(1)生活保護基準は憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」を営める水準でなければならない。
2008年6月26日、東京地裁判決は「基準生活費の減額が問題とされるのであれば、法の要求する生活水準を満たすかどうかという観点から、被保護者の生活実態に係る調査を行うことが極めて強く要求される」と判断している。
しかし、生活保護基準見直しの閣議決定は、憲法上保障された生活が営めるか生活水準であるか否かの検証が一切されていない。
(2)また、2010年4月9日付厚生労働省発表の「生活保護基準未満の低所得世帯数の推計について」によれば、生活保護制度の捕捉率(制度を利用できる資格がある人の中で生活保護制度を利用している人の割合)は15.3%から32.1%であり、生活保護基準以下の生活水準でありながら、生活保護制度を利用していない者が現在生活保護制度を利用している者の3倍以上にのぼることが明らかになっている。今取り組むべき課題は、生活保護制度から漏れている多くの低所得者を救済することであり、生活保護費を「極力圧縮」することではない。
生活保護費を「極力圧縮」することは、生活保護を利用しているわずかな人の最低限の生活さえも危うくすることになる。
3.また、生活保護基準の切り下げは、生活保護利用者だけの問題ではない。
生活保護基準は、住民税の非課税基準、国民健康保険料の減免基準、介護保険の利用料・保険料の減免基準、就学援助金の利用基準、日本司法支援センターの民事法律扶助の援助基準など生活の中の多様な分野の施策に関連している。
さらに、生活保護基準は最低賃金の指標にもなっているので、これが引き下げられると最低賃金の指標も下がることになり、今でさえ生活することが困難な最低賃金がいっそう引き下げられることにもつながる。
4.生活保護利用者が急増し過去最高となったことは、非正規利労働者の増加による雇用の不安定化と雇用保険の脆弱さ、年金制度が脆弱である中で高齢化社会を迎え、低年金者・無年金者が増大したことが原因である。
雇用の不安定化や、雇用保険・年金などの社会保障制度が脆弱なもとでは、生活保護利用者が増えるのは当然である。むしろ、生活保護こそが国民の命と生活を支えているとさえ言えるのである。
貧困と格差が拡大している今日であるからこそ、生活保護が積極的に活用されなければならない。
生活を支える重要な制度である生活保護制度の検討を行う場合には、専門家の知見や生活保護利用者の声を反映させるなど慎重に行うべきである。
以上の理由により、当会は今年度の予算編成において生活保護基準を引き下げることに強く反対するものである。
2013年01月10日
東京弁護士会 会長 斎藤 義房
サイトはこちら
<以下、コピーです>
1.昨年8月10日成立した社会保障制度改革推進法の附則2条では、「水準の適正化」を含む生活保護制度の見直しを行うと定められた。これを踏まえて、同月17日に閣議決定された「平成25年度予算の概算要求組替え基準について」では、「特に財政に大きな負荷となっている社会保障分野についても、これを聖域視することなく、生活保護の見直しをはじめとして、最大限の効率化を図る」こと、「自然増を含め、年金・医療等に係る経費についても、生活保護の見直しをはじめとして合理化・効率化に最大限取り組み、その結果を平成25年度予算に反映させるなど、極力圧縮に努めることとする」との基本方針が示されている。
2013年度予算において、生活保護基準が切り下げられることが強く懸念される。
2.しかし、生活保護基準の切り下げには大きな問題がある。
(1)生活保護基準は憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」を営める水準でなければならない。
2008年6月26日、東京地裁判決は「基準生活費の減額が問題とされるのであれば、法の要求する生活水準を満たすかどうかという観点から、被保護者の生活実態に係る調査を行うことが極めて強く要求される」と判断している。
しかし、生活保護基準見直しの閣議決定は、憲法上保障された生活が営めるか生活水準であるか否かの検証が一切されていない。
(2)また、2010年4月9日付厚生労働省発表の「生活保護基準未満の低所得世帯数の推計について」によれば、生活保護制度の捕捉率(制度を利用できる資格がある人の中で生活保護制度を利用している人の割合)は15.3%から32.1%であり、生活保護基準以下の生活水準でありながら、生活保護制度を利用していない者が現在生活保護制度を利用している者の3倍以上にのぼることが明らかになっている。今取り組むべき課題は、生活保護制度から漏れている多くの低所得者を救済することであり、生活保護費を「極力圧縮」することではない。
生活保護費を「極力圧縮」することは、生活保護を利用しているわずかな人の最低限の生活さえも危うくすることになる。
3.また、生活保護基準の切り下げは、生活保護利用者だけの問題ではない。
生活保護基準は、住民税の非課税基準、国民健康保険料の減免基準、介護保険の利用料・保険料の減免基準、就学援助金の利用基準、日本司法支援センターの民事法律扶助の援助基準など生活の中の多様な分野の施策に関連している。
さらに、生活保護基準は最低賃金の指標にもなっているので、これが引き下げられると最低賃金の指標も下がることになり、今でさえ生活することが困難な最低賃金がいっそう引き下げられることにもつながる。
4.生活保護利用者が急増し過去最高となったことは、非正規利労働者の増加による雇用の不安定化と雇用保険の脆弱さ、年金制度が脆弱である中で高齢化社会を迎え、低年金者・無年金者が増大したことが原因である。
雇用の不安定化や、雇用保険・年金などの社会保障制度が脆弱なもとでは、生活保護利用者が増えるのは当然である。むしろ、生活保護こそが国民の命と生活を支えているとさえ言えるのである。
貧困と格差が拡大している今日であるからこそ、生活保護が積極的に活用されなければならない。
生活を支える重要な制度である生活保護制度の検討を行う場合には、専門家の知見や生活保護利用者の声を反映させるなど慎重に行うべきである。
以上の理由により、当会は今年度の予算編成において生活保護基準を引き下げることに強く反対するものである。
自民党は、貧困ビジネスを解っていない
2012年11月20日
生活保護 現物支給も 自民が法改正案
<東京新聞2012年11月20日 朝刊>
「保護費を搾取する貧困ビジネスが社会問題となっており、現物給付活用を盛り込んだ。」とのことだが、現状での貧困ビジネスがどの様なモノか知っていれば、出てこない発想です。
生活保護受給者が手にする現金が今まで以上に少なくなる(あるいは、無くなる)と、「クーポン券」を現金化する貧困ビジネスが直ぐに始まる事は必然です。それによって、当事者は一層困窮し、闇金が紹介され、次にはクーポン券や現金を全て闇金に利息として巻き上げられる道しか無いようになります。継続して生活保護費を巻き上げる為に、家賃部分には闇金は手を出しません。しかし、困り果てた当事者が家賃をそれ以外に使って、家賃が払えなくなり、アパートを追い出される事になります。ホームレスになるしか無い様になります。
現状でも、「ボランティア」を名乗ったり、友達からの紹介の方法で「金がないのなら、貸すぞ」と近寄って来て、闇金の泥沼に引きずり込んでいます。巧妙と云う程でも無いのですが、今でも横行していますが、それが余計にやり易くなります。
(余談ですが、生活保護の支給日には、取り立てが建物内の福祉事務所の前の通路に群がっています。市役所が黙認していると言っても良い状態です。)
闇金に捕まる者は一部でしょうが、手持ちの現金が限られてくるとすれば、「食費を倹約して」と云う事が出来なくなりますから、社会生活上で様々な不便がでてきます。自立(生活保護からの脱出)の為の求職活動に支障をきたす事も、当然の事となります。
「現物支給」は、本末転倒と云わざるを得ません。
<東京新聞2012年11月20日 朝刊>
「保護費を搾取する貧困ビジネスが社会問題となっており、現物給付活用を盛り込んだ。」とのことだが、現状での貧困ビジネスがどの様なモノか知っていれば、出てこない発想です。
生活保護受給者が手にする現金が今まで以上に少なくなる(あるいは、無くなる)と、「クーポン券」を現金化する貧困ビジネスが直ぐに始まる事は必然です。それによって、当事者は一層困窮し、闇金が紹介され、次にはクーポン券や現金を全て闇金に利息として巻き上げられる道しか無いようになります。継続して生活保護費を巻き上げる為に、家賃部分には闇金は手を出しません。しかし、困り果てた当事者が家賃をそれ以外に使って、家賃が払えなくなり、アパートを追い出される事になります。ホームレスになるしか無い様になります。
現状でも、「ボランティア」を名乗ったり、友達からの紹介の方法で「金がないのなら、貸すぞ」と近寄って来て、闇金の泥沼に引きずり込んでいます。巧妙と云う程でも無いのですが、今でも横行していますが、それが余計にやり易くなります。
(余談ですが、生活保護の支給日には、取り立てが建物内の福祉事務所の前の通路に群がっています。市役所が黙認していると言っても良い状態です。)
闇金に捕まる者は一部でしょうが、手持ちの現金が限られてくるとすれば、「食費を倹約して」と云う事が出来なくなりますから、社会生活上で様々な不便がでてきます。自立(生活保護からの脱出)の為の求職活動に支障をきたす事も、当然の事となります。
「現物支給」は、本末転倒と云わざるを得ません。
役人も、捨てたもんじゃ無い
2012年11月18日
生活保護巡り「新仕分け」岡田氏と女性局長が…
テレ朝(11/17 17:49)
衆議院解散にもかかわらず行われている政府の「事業仕分け」で、生活保護制度を巡って、岡田副総理と厚生労働省の村木厚子局長が議論を戦わせました。
生活保護費受給者の医療費は、国が全額負担していて、年間で約1兆6000億円に上っています。しかし、価格が安いジェネリック医薬品があまり使われていないことが問題になりました。
岡田副総理:「ジェネリック(医薬品)の問題は、一歩踏み出す時でないか。効能が一緒なものについて(使用を)義務付けるということが、その分、十分な医療を受けられなくなるとそういう話ではありませんので…」
厚生労働省、村木社会・援護局長:「生活保護だけはジェネリック、生活保護だからなんとかと言われた時の別のアナウンスメント効果。理屈ではないところのマイナスの効果もありますので、ぜひそこも考慮頂きたい」
仕分けの結果、ジェネリック医薬品の使用については、「原則義務化する方向で取り組むべきだ」と判定されました。しかし、受給者の一部自己負担については具体的な結論は出せませんでした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『村木社会・援護局長:「生活保護だけはジェネリック、生活保護だからなんとかと言われた時の別のアナウンスメント効果。理屈ではないところのマイナスの効果もありますので、」』の発言。
『生活保護受給者のジェネリック医薬品を原則化』について、生活保護受給者の医療費全額扶助と共に、切り下げ・改悪が意図されています。改悪反対の意見の中で、木村局長の健全な発言は歓迎すべきです。
私は、国や制度や行政・役人を批判する立場なのですが、しっかりとした見識を持ち発言する官僚がいる事に感心させられました。
『生活保護特権』や『ナマホ』などと、差別意識が強まっていますから、特に。
テレ朝(11/17 17:49)
衆議院解散にもかかわらず行われている政府の「事業仕分け」で、生活保護制度を巡って、岡田副総理と厚生労働省の村木厚子局長が議論を戦わせました。
生活保護費受給者の医療費は、国が全額負担していて、年間で約1兆6000億円に上っています。しかし、価格が安いジェネリック医薬品があまり使われていないことが問題になりました。
岡田副総理:「ジェネリック(医薬品)の問題は、一歩踏み出す時でないか。効能が一緒なものについて(使用を)義務付けるということが、その分、十分な医療を受けられなくなるとそういう話ではありませんので…」
厚生労働省、村木社会・援護局長:「生活保護だけはジェネリック、生活保護だからなんとかと言われた時の別のアナウンスメント効果。理屈ではないところのマイナスの効果もありますので、ぜひそこも考慮頂きたい」
仕分けの結果、ジェネリック医薬品の使用については、「原則義務化する方向で取り組むべきだ」と判定されました。しかし、受給者の一部自己負担については具体的な結論は出せませんでした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『村木社会・援護局長:「生活保護だけはジェネリック、生活保護だからなんとかと言われた時の別のアナウンスメント効果。理屈ではないところのマイナスの効果もありますので、」』の発言。
『生活保護受給者のジェネリック医薬品を原則化』について、生活保護受給者の医療費全額扶助と共に、切り下げ・改悪が意図されています。改悪反対の意見の中で、木村局長の健全な発言は歓迎すべきです。
私は、国や制度や行政・役人を批判する立場なのですが、しっかりとした見識を持ち発言する官僚がいる事に感心させられました。
『生活保護特権』や『ナマホ』などと、差別意識が強まっていますから、特に。
扶養義務についての報道から、考えてみました
2012年11月13日
生活保護制度:厚労省の見直し案、特別部会の部会長が異論
毎日新聞 2012年11月12日
宮本太郎北海道大大学院教授は12日、国会内で開かれた民主党の会合で、生活保護制度の見直しに関する厚生労働省素案が受給申請者の親族に扶養できない理由の説明を義務づけていることについて「官僚制の管理機能強化が本当に必要か。効果があるのか」と述べ、異論を唱えた。宮本氏は見直し案を議論し、年内に成案をまとめる社会保障審議会(厚労相の諮問機関)特別部会の部会長を務めている。
宮本氏は、同省素案が生活保護受給者に健康管理の徹底を義務づけている点にも「生活への介入で、あえて書き込む必要があるのか」と疑問を示した。さらに財務省を、生活保護見直しを財政削減の観点から進めているとして批判した。生活保護を巡る管理強化については、受給者の支援団体も「申請をためらわせ、結果的に必要な人が受給できなくなる恐れがある」と懸念している。
【遠藤拓】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「扶養義務」の強要と思える生活保護の運用は、そもそも生活保護がその基本に「本人申請」を定めている事に反します。
人は、生活を含む自由な人格権を有していますが、本人申請の「精神」は、その人を尊重する所から来ています。「緊急保護」の条項が定められているのも、その為です。
ですから、扶養義務の「証明」という形で厳しく「強要」とも取れる制度運用がなされるとするならば、その逆の扶養義務者の保護を必要とする当人を差し置いての生活保護申請も受け付けるようにするのが筋となると思います。
これらの事が行われるとすれば、法の精神に反する、人格権の侵害がまかり通る事になります。
ましてや、保護申請者に保護が必要となるまで扶養義務を果たさなかった当事者と扶養義務者の『過去事情』に、「行政」が介入することが容認されるならば、個人情報保護の原則も崩される事になります。生活保護行政以外の所でも、行政の強権的な介入が認められる事に拡大していきます。警察の捜査にも、市民の権利を守る為に多くの制約・制限がある事は、自由な人格権守る為のものですが、その事で捜査に支障をきたしてもいますが、「警察国家」にしないと云う、そもそもは憲法の精神に基づくものです。
また、ある意味で瑣末な事ですが、「説明義務」に反した場合はどうするのか。反しているかいないかは誰が調査するのか。違反は、違法と行為として刑事罰の対象にするのか。行政の肥え太りだけを生み出し、予算の節約では無く増大が予想され、本末転倒でも良いとするならば、意図している本音は、支給額はへして、その数倍の管理運営予算を分捕り、役人を増やそうと云うものです。
現状でさえ、「扶養義務者」への連絡が重荷になって、生活保護申請を躊躇する方が沢山います。野宿に落ちる前に多大な迷惑をかけてきた事の負い目、既に諍いがあって縁が切れてしまっている場合など、過去を蒸し返されるよりは野宿を辛抱する方がましだと考えてしまうのです。野宿にまで成っていなくても、やはりこれ以上迷惑をかけられないと、保護を申請しない方も沢山おられます。
扶養義務を、これまで以上に厳しく問いただせば、更に保護申請がしにくくなります。
行政として、捕捉率20%という、「先進国」最低の現状を、憲法25条を護る仕事をしている立場から考えて、情けなくは無いのだろうか。
毎日新聞 2012年11月12日
宮本太郎北海道大大学院教授は12日、国会内で開かれた民主党の会合で、生活保護制度の見直しに関する厚生労働省素案が受給申請者の親族に扶養できない理由の説明を義務づけていることについて「官僚制の管理機能強化が本当に必要か。効果があるのか」と述べ、異論を唱えた。宮本氏は見直し案を議論し、年内に成案をまとめる社会保障審議会(厚労相の諮問機関)特別部会の部会長を務めている。
宮本氏は、同省素案が生活保護受給者に健康管理の徹底を義務づけている点にも「生活への介入で、あえて書き込む必要があるのか」と疑問を示した。さらに財務省を、生活保護見直しを財政削減の観点から進めているとして批判した。生活保護を巡る管理強化については、受給者の支援団体も「申請をためらわせ、結果的に必要な人が受給できなくなる恐れがある」と懸念している。
【遠藤拓】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「扶養義務」の強要と思える生活保護の運用は、そもそも生活保護がその基本に「本人申請」を定めている事に反します。
人は、生活を含む自由な人格権を有していますが、本人申請の「精神」は、その人を尊重する所から来ています。「緊急保護」の条項が定められているのも、その為です。
ですから、扶養義務の「証明」という形で厳しく「強要」とも取れる制度運用がなされるとするならば、その逆の扶養義務者の保護を必要とする当人を差し置いての生活保護申請も受け付けるようにするのが筋となると思います。
これらの事が行われるとすれば、法の精神に反する、人格権の侵害がまかり通る事になります。
ましてや、保護申請者に保護が必要となるまで扶養義務を果たさなかった当事者と扶養義務者の『過去事情』に、「行政」が介入することが容認されるならば、個人情報保護の原則も崩される事になります。生活保護行政以外の所でも、行政の強権的な介入が認められる事に拡大していきます。警察の捜査にも、市民の権利を守る為に多くの制約・制限がある事は、自由な人格権守る為のものですが、その事で捜査に支障をきたしてもいますが、「警察国家」にしないと云う、そもそもは憲法の精神に基づくものです。
また、ある意味で瑣末な事ですが、「説明義務」に反した場合はどうするのか。反しているかいないかは誰が調査するのか。違反は、違法と行為として刑事罰の対象にするのか。行政の肥え太りだけを生み出し、予算の節約では無く増大が予想され、本末転倒でも良いとするならば、意図している本音は、支給額はへして、その数倍の管理運営予算を分捕り、役人を増やそうと云うものです。
現状でさえ、「扶養義務者」への連絡が重荷になって、生活保護申請を躊躇する方が沢山います。野宿に落ちる前に多大な迷惑をかけてきた事の負い目、既に諍いがあって縁が切れてしまっている場合など、過去を蒸し返されるよりは野宿を辛抱する方がましだと考えてしまうのです。野宿にまで成っていなくても、やはりこれ以上迷惑をかけられないと、保護を申請しない方も沢山おられます。
扶養義務を、これまで以上に厳しく問いただせば、更に保護申請がしにくくなります。
行政として、捕捉率20%という、「先進国」最低の現状を、憲法25条を護る仕事をしている立場から考えて、情けなくは無いのだろうか。
最賃の引き上げと就労時間の確保
2012年07月11日
『地域別最低賃金で働いた場合の収入が、生活保護の給付水準を下回る「逆転」地域は十一都道府県』です。
原因は、「生活保護のうち家賃などの住宅扶助費が増え、給付水準が上昇。一方、健康保険や雇用保険などの社会保険料の増加で手取り収入が減り、逆転拡大を招いた。」とされています。
との、多くのニュース記事が流れました。
( 生活保護費の切り下げは論外です。)
仕事の現状をみると、最賃賃金で雇用され、しかも月間の就労時間が200時間に届く事が無い雇用条件で働いている人たちは、ぎりぎりの生活です。何か事故(病気など)があれば、早晩ホームレスのならざるを得ない状態です。住居を失ってからの生活保護では、住宅取得扶助や家具什器代・布団代の扶助も必要になってきます。更に生活保護費を増やしてしまうことになります。
『経営者側は、賃金を大幅に上げると経営を圧迫し、雇用縮小を招きかねないと反発する。』が、社会全体の不安定化が、経済を圧迫し、後退を招いている事に思い至らないのは、自分(達)で自分たちの首を絞めている事に気づかない、『自分の会社』だけが生き残れさえすればよいと思いこむ、経済音痴の発想です。
原因は、「生活保護のうち家賃などの住宅扶助費が増え、給付水準が上昇。一方、健康保険や雇用保険などの社会保険料の増加で手取り収入が減り、逆転拡大を招いた。」とされています。
との、多くのニュース記事が流れました。
( 生活保護費の切り下げは論外です。)
仕事の現状をみると、最賃賃金で雇用され、しかも月間の就労時間が200時間に届く事が無い雇用条件で働いている人たちは、ぎりぎりの生活です。何か事故(病気など)があれば、早晩ホームレスのならざるを得ない状態です。住居を失ってからの生活保護では、住宅取得扶助や家具什器代・布団代の扶助も必要になってきます。更に生活保護費を増やしてしまうことになります。
『経営者側は、賃金を大幅に上げると経営を圧迫し、雇用縮小を招きかねないと反発する。』が、社会全体の不安定化が、経済を圧迫し、後退を招いている事に思い至らないのは、自分(達)で自分たちの首を絞めている事に気づかない、『自分の会社』だけが生き残れさえすればよいと思いこむ、経済音痴の発想です。
芸能人を人柱にする、保護法改悪
2012年05月29日
生活保護法の改悪の為に、芸能人を人柱にするというビックリするような手法で世論操作を行う自民党には、憲法25条や人権意識の欠如があからさまです。捕捉率が30%程度の生活保護ですから、現在の3倍の生活保護受給者になるまでは、生活保護法が基本の目的を達成していません。生活保護申請の門戸を狭くするなどはもってのほかです。
生活保護が減らない原因はこれだ
2011年11月22日
製造業派遣「原則禁止」削除…民自公が大筋合意
政府提出の労働者派遣法改正案に盛り込まれた「製造業派遣」と「登録型派遣」をそれぞれ原則禁止する規定について、民主、自民、公明3党が両規定の削除で大筋合意したことが15日、分かった。両規定に反対する自公両党に民主党が譲歩した。
同改正案は修正のうえ、今国会で成立する見通しとなった。
同改正案は派遣労働者の待遇改善を目指し、2010年の通常国会に提出された。改正案には、〈1〉派遣元企業が得る手数料の割合を明示するよう義務づけ〈2〉製造業への派遣は原則禁止〈3〉仕事がある時だけ派遣元と雇用契約を結ぶ登録型派遣は秘書や通訳などの専門26業種以外で原則禁止――などを規定した。
このうち、製造業派遣と登録型派遣の原則禁止には、経済界に「急な仕事の発注に対応できない中小企業が影響を受ける」などと反対意見が強い。自公両党も経済界の懸念を踏まえて政府案を批判。同改正案は衆院で継続審議となり、今国会でも実質的な審議に入れないままになっている。
このため、民主党は、製造業派遣と登録型派遣の原則禁止以外の待遇改善策の実現を急ぐ必要があると判断し、両規定の削除に応じることにした。
(2011年11月15日11時15分 読売新聞)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
企業利益のための法律は、失業即生活保護やホームレスの現状を作っています。
政治が貧困の現状に頓着せず、企業の代弁者として法律をいじる事は、許せません。
政府提出の労働者派遣法改正案に盛り込まれた「製造業派遣」と「登録型派遣」をそれぞれ原則禁止する規定について、民主、自民、公明3党が両規定の削除で大筋合意したことが15日、分かった。両規定に反対する自公両党に民主党が譲歩した。
同改正案は修正のうえ、今国会で成立する見通しとなった。
同改正案は派遣労働者の待遇改善を目指し、2010年の通常国会に提出された。改正案には、〈1〉派遣元企業が得る手数料の割合を明示するよう義務づけ〈2〉製造業への派遣は原則禁止〈3〉仕事がある時だけ派遣元と雇用契約を結ぶ登録型派遣は秘書や通訳などの専門26業種以外で原則禁止――などを規定した。
このうち、製造業派遣と登録型派遣の原則禁止には、経済界に「急な仕事の発注に対応できない中小企業が影響を受ける」などと反対意見が強い。自公両党も経済界の懸念を踏まえて政府案を批判。同改正案は衆院で継続審議となり、今国会でも実質的な審議に入れないままになっている。
このため、民主党は、製造業派遣と登録型派遣の原則禁止以外の待遇改善策の実現を急ぐ必要があると判断し、両規定の削除に応じることにした。
(2011年11月15日11時15分 読売新聞)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
企業利益のための法律は、失業即生活保護やホームレスの現状を作っています。
政治が貧困の現状に頓着せず、企業の代弁者として法律をいじる事は、許せません。
②仕事が無い 3 「怠けている」?
2011年10月13日
「受給者のままでいい」 生活保護4か月連続200万人
4か月連続で200万人を上回った生活保護受給者。今年に入って59年ぶりに大台を突破した背景には、働くことが可能な世代の受給者の急増があり、そこには、ひとたび生活保護を受けると泥沼に沈むように働く意欲を失ってしまう受給者の姿も浮かぶ。全国最多の約15万人の受給者を抱える大阪市で、現状を探った。(鈴木隆弘、梶多恵子)
午前8時半。開庁時間を迎えた大阪市西成区役所に、長い列が吸い込まれていった。
月1度の生活保護費の支給日だった9月30日、現金支給を受けに来た約200人で、3、4階の窓口前は満員電車並みに混雑し、「1列に並んで下さい」と職員が大声で呼び掛けて回る。同区は人口約12万人のほぼ4人に1人が受給者。市内24区の中で、群を抜く。
午前9時のチャイムと同時に受給者は一斉に窓口に押し寄せ、職員から茶封筒を受け取る。その多くは50~60歳代の男性だが、若年層もちらほらだがいる。
Tシャツにジーパン姿で茶髪の男性(34)がいた。窓口を離れ、1階に下りると、待ち構えていた若者に受け取ったばかりの保護費を手渡す。相手はアパートの大家で、家賃4万5000円を支払ったのだという。
あいりん地区にある、そのアパートを訪ねた。古い簡易宿所を転用した6階建ての典型的な受給者向け。6畳一間には備え付けのテレビと布団、冷蔵庫があるだけで、「1人でいると刑務所にいるような気持ち」と男性。他の住民との付き合いは全くないという。
数年前から仕事をせず、生活保護は5月から。住宅扶助も含めた月12万5000円を受給するが、家賃と光熱費を除くと「ほとんど酒代」。ガールズバーやキャバクラに出入りし、2、3日でなくなることもある。2年前にアルコール依存症と診断され、借金も数百万円あるという。
建築作業員など様々な職に就いてきたが、人間関係が煩わしくて続かず、親にも勘当された。それでも「最初は生活保護が後ろめたかった」。職探しに励み、清掃会社の面接を受けたこともある。だが不採用。以後、就職活動はやめた。
「仕事しなくても金が入っちゃう。やる気なくしますね」と、男性は苦笑いを浮かべた。将来の夢は「仕事をして家族を持ち、普通の生活をすること」。このままではダメとわかっている。でも、どうしていいかわからないという。
「生活保護でようやく、人並みの生活ができるようになりました」と、区役所で出会った別の受給者の男性(37)は笑顔で話した。保護を受けて4年。この間仕事はしたことがない。
約10年前に両親が死亡し、実家マンションを家賃滞納で追い出された。あいりん地区の簡易宿所で暮らして派遣で清掃などに従事、仕事がない時は野宿していたが、不況で仕事が途絶えた。
うつ病と診断され、生活保護を受けたが、初めて保護費を受け取る時は「恥ずかしかった」。だが就職活動は、100件近く応募して面接に至るのが10件ほど。ある工場に採用が決まった時も、1日7時間の労働が「厳しすぎる」と辞退した。
医師からは「じきに完治する」と言われているが、「まじめに働いても、月10万円ちょっとでは……」と働く気が起きない。ハローワークにも行かず、スロットマシンで遊ぶ日々。「プロになるまで、生活保護のお世話になろうかな」。悪びれることなく言った。
(2011年10月12日 読売新聞)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
生活保護を受けながら長期に仕事をしていない人の中で、仕事をする気が無い人の話を拾い集めた記事です。
生活保護で支給されるお金で、一か月の生活は余裕が無い状態です。「これで良し」と思っているのでは無く、「仕方が無い」と思って諦めているのです。「怠け者」と非難するだけで、問題は解決するでしょうか。保護を厳しくするだけで、問題は解決するでしょうか。
野宿を経験し、経歴にブランクがあり、資格や技能の無い方が、何度も何度も就職の面接で断り続けられると、自分に自信が無くなります。ついには現実から逃避する状態になります。時には精神疾患に陥って、更に抜け出せなくなります。
現在の極端に低い求人倍率でも、「仕事はある」状態ですが、その競争に勝てるはずがありません。ですから、仕事が無いのと同じです。読売新聞の取材に応じた人達も、「現状」を話したかもしれませんが、本音は話していません。本当は、働いて評価され、その仕事で生活できる賃金が手に入る事を望んでいるのです。
本当に救済できる制度を作らないと、これから更に生活保護受給者は増えていきます。
4か月連続で200万人を上回った生活保護受給者。今年に入って59年ぶりに大台を突破した背景には、働くことが可能な世代の受給者の急増があり、そこには、ひとたび生活保護を受けると泥沼に沈むように働く意欲を失ってしまう受給者の姿も浮かぶ。全国最多の約15万人の受給者を抱える大阪市で、現状を探った。(鈴木隆弘、梶多恵子)
午前8時半。開庁時間を迎えた大阪市西成区役所に、長い列が吸い込まれていった。
月1度の生活保護費の支給日だった9月30日、現金支給を受けに来た約200人で、3、4階の窓口前は満員電車並みに混雑し、「1列に並んで下さい」と職員が大声で呼び掛けて回る。同区は人口約12万人のほぼ4人に1人が受給者。市内24区の中で、群を抜く。
午前9時のチャイムと同時に受給者は一斉に窓口に押し寄せ、職員から茶封筒を受け取る。その多くは50~60歳代の男性だが、若年層もちらほらだがいる。
Tシャツにジーパン姿で茶髪の男性(34)がいた。窓口を離れ、1階に下りると、待ち構えていた若者に受け取ったばかりの保護費を手渡す。相手はアパートの大家で、家賃4万5000円を支払ったのだという。
あいりん地区にある、そのアパートを訪ねた。古い簡易宿所を転用した6階建ての典型的な受給者向け。6畳一間には備え付けのテレビと布団、冷蔵庫があるだけで、「1人でいると刑務所にいるような気持ち」と男性。他の住民との付き合いは全くないという。
数年前から仕事をせず、生活保護は5月から。住宅扶助も含めた月12万5000円を受給するが、家賃と光熱費を除くと「ほとんど酒代」。ガールズバーやキャバクラに出入りし、2、3日でなくなることもある。2年前にアルコール依存症と診断され、借金も数百万円あるという。
建築作業員など様々な職に就いてきたが、人間関係が煩わしくて続かず、親にも勘当された。それでも「最初は生活保護が後ろめたかった」。職探しに励み、清掃会社の面接を受けたこともある。だが不採用。以後、就職活動はやめた。
「仕事しなくても金が入っちゃう。やる気なくしますね」と、男性は苦笑いを浮かべた。将来の夢は「仕事をして家族を持ち、普通の生活をすること」。このままではダメとわかっている。でも、どうしていいかわからないという。
「生活保護でようやく、人並みの生活ができるようになりました」と、区役所で出会った別の受給者の男性(37)は笑顔で話した。保護を受けて4年。この間仕事はしたことがない。
約10年前に両親が死亡し、実家マンションを家賃滞納で追い出された。あいりん地区の簡易宿所で暮らして派遣で清掃などに従事、仕事がない時は野宿していたが、不況で仕事が途絶えた。
うつ病と診断され、生活保護を受けたが、初めて保護費を受け取る時は「恥ずかしかった」。だが就職活動は、100件近く応募して面接に至るのが10件ほど。ある工場に採用が決まった時も、1日7時間の労働が「厳しすぎる」と辞退した。
医師からは「じきに完治する」と言われているが、「まじめに働いても、月10万円ちょっとでは……」と働く気が起きない。ハローワークにも行かず、スロットマシンで遊ぶ日々。「プロになるまで、生活保護のお世話になろうかな」。悪びれることなく言った。
(2011年10月12日 読売新聞)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
生活保護を受けながら長期に仕事をしていない人の中で、仕事をする気が無い人の話を拾い集めた記事です。
生活保護で支給されるお金で、一か月の生活は余裕が無い状態です。「これで良し」と思っているのでは無く、「仕方が無い」と思って諦めているのです。「怠け者」と非難するだけで、問題は解決するでしょうか。保護を厳しくするだけで、問題は解決するでしょうか。
野宿を経験し、経歴にブランクがあり、資格や技能の無い方が、何度も何度も就職の面接で断り続けられると、自分に自信が無くなります。ついには現実から逃避する状態になります。時には精神疾患に陥って、更に抜け出せなくなります。
現在の極端に低い求人倍率でも、「仕事はある」状態ですが、その競争に勝てるはずがありません。ですから、仕事が無いのと同じです。読売新聞の取材に応じた人達も、「現状」を話したかもしれませんが、本音は話していません。本当は、働いて評価され、その仕事で生活できる賃金が手に入る事を望んでいるのです。
本当に救済できる制度を作らないと、これから更に生活保護受給者は増えていきます。